英語を学習する上で、英語のニュースを読み聞きすることには大きなメリットがあります。
英語のニュースから、教科書には書かれていない最新の話題の表現方法を学べますし、自然に単語数を増やすこともできます。また、アナウンサーの話す英語から、正しい発音や聞き取りやすい抑揚を学べます。
そこで今回は、無料で読んだり聞いたりできる英語ニュースサイトの選び方とその活用方法などを紹介していきたいと思います。
目次
英語上達への王道 : ニュースは目的意識を持って読む・聞く
あなたが日本語でニュースに触れる際の行動を思い出してみてください。興味があるニュースは詳しく読んだり聞いたりしているのに、興味のないニュースは読み飛ばしたり聞き流してしまったりしていませんか?
英語のニュースに触れる際も、興味のある分野から始めるのが長続きするコツです。例えば、自分の仕事に関係するニュースを優先的に聞くのもよいですし、スポーツ好きならスポーツ記事、旅行好きなら行ってみたい国の記事を探してみてください。興味のある話題から入ることで、英語の読み取れない・聞き取れないストレスを軽減することができます。
また、ある程度英語に慣れてきたら、英語ニュースを英語の更なるブラッシュアップに役立てるのもおススメです。例えば英語でのプレゼンがうまくなりたいなら、プレゼン内容に関連した分野のニュースを聞いて、話の構成の仕方や単語の発音を学ぶ。野球好きで会議の前に外国人と世間話をしたいなら、野球欄を読んで表現を学ぶ。英語のメールをスラスラとかけるようになりたいなら、短い一面記事で文章のまとめ方を研究するといった感じです。
この際、ノートを準備する必要はありません。ノートを取らなくてもニュースを見聞きするだけで「こういう言い回しをするんだ」「ここでイントネーションを強調するんだ」と言う気づきを得ることができます。その小さな気づきの積み重ねにより、いつの間にか英語が上達してしまうのが、英語のニュースに触れるメリットなのです。
【入門】耳から自然な英語を学ぶ
いきなり時事ニュースから聞くのはハードルが高い、あるいはニュースを聞いてみたものの今一つ聞き取れなかった、という方におススメしたいのが英語のラジオ放送です。
AFN
AFN(American Forces Network)は在日米軍基地向けの短波ラジオ放送で、インターネット放送も行っています。音楽放送が多いので、音楽の合間に英語を聞く気楽さで始めることができます。曲と曲の間に、日本の天気予報や地域情報、リスナーとの短い会話やニュースが放送されているイメージです。ラジオなので聞き取りやすい表現と単語で構成されており、中学レベルの文法と単語で楽しむことができます。ネイティブスピーカーの自然な速さの英語に耳を慣らすために、流しっぱなしにしておくのが効果的です。
【初級】日本のニュースを英語で読む・聞く
英語に耳が慣れてきたら、時事ニュースに挑戦してみましょう。初めて英語の時事ニュースに触れる方には、身近な話題を扱っている日本のニュースサイトをおすすめします。
なぜなら、海外のニュースにいきなり挑戦してしまうと、馴染みのない話題が多く、挫折してしまう原因になってしまうからです。海外のニュースでは、たとえばアメリカの最高裁判所の人事の話題がトップを飾ったりします。
このようなニュースは日本語で書かれていたとしても、(アメリカの政治に深い関心がなければ)なぜ一面記事になるのか分からないですよね。ひどい場合は日本語に訳しても馴染みのない単語を羅列されてニュースの要旨すらつかめない状態に陥ってしまうかもしれません。
その点、日本のニュースサイトであれば、話題に馴染みがあります。最初から日本語訳を知っている状態で英語に触れられるのです。最初に見出しを読んでニュースの大筋を確認し、それを手がかりにリーディングやリスニングの訓練ができます。
NHK WORLD
NHK WORLDはNHKのニュースが英語で読める・聞けるサイトです。アナウンサーやレポーターは日本語訛りがあるものの、総じて落ち着いたイントネーションと速さで聞き取りやすいです。時事ニュースだけでなく、日本の風物詩や地域情報もあるので、外国人に日本を説明する際のヒントも拾うことが可能です。
WEBサイト: https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/
Podcast: https://www.nhk.or.jp/podcasts/program/nhkworld.html
THE JAPAN TIMES
The Japan Timesは日本経済新聞の英語版です。経済関連のニュースが豊富で、レポートや報告書などの書き方の参考にもできます。ただし、残念ながら音声や動画はありません。
WEBサイト: https://www.japantimes.co.jp/news/
Podcast: 提供なし (2017年11月22日時点)
その他
読み慣れた新聞を英語で読むことも可能です。主要な新聞社のサイトを紹介しておきます。
読売新聞=The Japan News: http://the-japan-news.com/news/business
朝日新聞=The Asahi Shimbun: http://www.asahi.com/ajw/
毎日新聞=The Mainichi: https://mainichi.jp/english/
産経新聞=(The Japan Times内): https://www.japantimes.co.jp/tag/sankei-shimbun/
【中級】海外の話題を読む・聞く
ビジネスパートナーが外国人だったり、海外と取引があったりする場合には、海外の新聞を読むことでリテラシーを上げることが可能です。海外からのニュースに触れることで、世界で話題になっていることを学べますし、外国人が日本をどのように見ているかもわかります。また、一面記事を日本の新聞と比べることで、各国で重要視されている時事問題の違いを見るのも面白いでしょう。
USA TODAY
USA Todayはアメリカの大衆紙で、アメリカの全国的な新聞として有名です。社会面やコラムが豊富なので、気楽に始められます。記事は平易で短い文章で構成されており、初めて海外の新聞を読む方でも比較的取り組みやすいです。動画や音声はアメリカ英語で、活舌よくゆっくり話しているので聞き取りやすいのが特徴です。
BBC
British Broadcastingの名前の通り、イギリスの公共放送局です。世界中のニュースを網羅しており、公平な視点で話題を提供することに定評があります。アナウンサーは『容認発音』で話しており、アメリカ英語に比べるとカタカナ発音に近く、聞き取りやすいです。ただし、記事はイギリス英語で書かれており、学校で習ったスペルと異なっていることも多いので、単語を覚える際には注意しましょう。
WEBサイト: http://www.bbc.com/
Podcast: http://www.bbc.co.uk/podcasts
WALL STREET JOURNAL
Wall Street Journalは世界で最も購読者数が多い日刊経済新聞です。信頼性は高く、経済・金融の最新情報を得るのにおすすめです。ビジネス関連の情報を中心にニュースを読みたい方に向いています。アナウンサーはアメリカ英語で話し、若干早口ではあるものの、落ち着いたトーンなので、速さに慣れてしまえば聞き取りやすいでしょう。
WEBサイト: https://www.wsj.com/
Podcast: http://www.wsj.com/podcasts/
【上級】アメリカ右派・左派の記事を読む・聞く
アメリカでは新聞社も支持政党が明白で、社説だけでなく、普通のニュース記事にまで政治的なバイアスがかかっていることがあります。一つの記事を読んで、それが一般的な解釈だと理解すると痛い目に合いますので、情報発信者の政治的見解に引きずられないように注意しましょう。
中級編で紹介したニュースサイトは比較的中立な立場でニュースを発信していますが、ここで紹介するのは右派・左派の傾向が強いニュースサイトです。支持政党を意識してニュースを読むこともできますし、社説などを読み比べるのも面白いでしょう。
(参考) アメリカ右派・左派とは
右翼とは、トランプ氏が所属する保守派・共和党です。キリスト教色が強く、白人男性や退役軍人が主な支持層です。富裕層を優遇し、『アメリカ第一主義』の傾向があります。左翼とは、クリントン氏が所属するリベラル派・民主党です。白人、黒人、ヒスパニック、アジア系に広く支持され、マイノリティの人権擁護も押し出しています。
CNN
英語ニュースと言えばCNNを思い浮かべる方も多いと思いますが、CNNはやや左寄りです。アナウンサーは各国の訛りを残しつつ、アメリカ英語を話すので、CNNが聞き取れればTOEICなどの資格試験のリスニングにも不自由しないでしょう。
NEW YORK TIMES
ニューヨークのタイムズスクエアの由来にもなっているNew York Timesですが、リベラル色が強い新聞です。文章は格調高く、社説なども重厚です。音声はゆっくりとしたアメリカ英語で聞き取りやすいです。
WEBサイト: https://www.nytimes.com/
Podcast: https://www.nytimes.com/podcasts/
FOX NEWS
Fox Newsは保守色が強く、New York Timesと対極をなす報道をしばしば行っています。記事は比較的平易な文章で書かれていて読みやすいです。新聞社ではなく放送局なので、動画の種類が豊富です。討論などを会議の参考にするのも良いでしょう。
長く続けるために
英語のニュースに飽きないコツは、一つ一つの単語の意味に執着しないことです。日本語で新聞を読むときも、一つ一つの単語の意味を正確に理解して読んでいる方はいませんよね? 英語でニュースを読んだり聞いたりしている時も同様で、だいたいの意味が把握できれば問題ないのです。
辞書を引くときも、単語の意味を覚えようと必死になる必要はありません。よく使われる単語は他の記事でも頻繁に見かけるので、自然と単語の意味を覚えられます。一方で他の記事に一度も出てこないような単語は、知らなくてもいい単語だと割り切ってしまいましょう。
肩の力を抜いて、英語に触れること自体を楽しんでみてください。楽しむだけで、いつの間にかあなたの英語力はあがっているはずです。
今回紹介した中には一部の記事を読むのに購読が必要なサイトもありますが、まずは無料で利用できるニュースサイトから試してみることをおすすめします。
担当ライター:Hitomi.K(高校までの英語の成績が良かったため、勘違いして外資系企業に入社。英語の資料は読めず、初の海外との会議ではHelloしか聞き取れず挫けそうになるも、給料が良かったのでしがみつく。独学で英検1級合格。その後も外資数社で勤務。たまにアメリカに在住経験があると思い込まれて困惑する。)