英語全般

英語の長文を速読するテクニックを身につけよう!

日本での英語の勉強と海外の英語学校での授業で一番違うと感じるのは、リーディングではないのかなと思います。日本の英語の授業では、込み入った文法を駆使した複雑な構文を「解読」することに重点が置かれていました。

そういう英語教授法が悪いとは思いませんが、英語を速読するテクニックがないと、海外の大学では授業についていくのも大変でしょう。講義の予習のために大量の文献を読ませるのが通常です。また英字新聞をイチイチ精読していては、時間がいくらあっても足りません。

そこで今回は、英語の長文を早く読むのに有効なテクニックである"scanning"(スキャニング)と"skimming"(スキミング)をご紹介します。

scanningとskimmingの違い

私が初めて"scanning"と"skimming"という言葉を知ったのは、大学院に入学する前の英語のプリセッショナルコースでした。もともと英語を読む機会が多かったので、それほど速読を苦にはしていませんでした。

とはいえ、大学院で読ませる文献の量の多さは半端なく、電話帳みたいな分厚い本を何冊も読ませる講義もあります。それに対応するために、今回ご紹介する"scanning"や"skimming"という技術が必要になってきます。

"scan"(スキャン)と聞いてピンとくる方は多いと思いますが、"scan"は、まさにスキャナーについてあるセンサーで文字を読み取る様子を想像すると良いでしょう。

Oxford Advanced Learner’s Dictionaryには次のような説明があります。

scan

to look quickly but not very carefully at a document, etc.

例:I scanned the list quickly for my name.

一方の"skimming"は日本でもカード犯罪で情報を抜き取る意味で使われているので、ご存知の方は多いでしょう。

同じく英英辞典で"skim"を調べると以下のように説明されています。

skim

to read sth quickly in order to find a particular point or the main points

例:I always skim the financial section of the newspaper.

英英辞典ですと、あまり違いがわかりにくいですね。発音にしても意味にしても非常に似た"scan"と"skim"ですが、英語読解の文脈では2つは異なります。

"scan"は流し読みすることです。例えば、英語の辞書で自分の知りたい単語の意味を調べたいときや、電話帳から友人の電話番号を探すときに、必要な情報をざっと目を走らせます。これが"scanning"です。

これが英語の読解に役に立つの?と思うかもしれませんが、応用範囲の広いテクニックです。例えば、目次のない英文を読むときに、必要なキーワードを見つけるときに"scanning"をします。もちろんpdfファイルのような文字情報を検索できれば一番いいのですが、その方法が通用しない文献は多々あります。

TOEICやTOEFL、IELTSといった英語の試験でも、大量に英語を読ませて問題を解く必要があります。問題を解くために先に設問を読んで、与えられた文章から必要な単語を探し出すときにも"scanning"すればいいわけですね。別な言い方をすれば、必要ない部分は一切意味を解読しないということです。

これに対して"skimming"というのは、英文の要旨など言いたい部分だけを拾い出す作業のことを言います。ニュース記事であれば、書かれている記事のメインのアイディアをつかみ取る作業です。"scanning"と同じく必要ない部分は意味を解読する必要はほとんどありません。

ニュース記事の文章の構造を理解していれば、「この部分には意味の分からない単語があるけど、重要な情報が含まれていないからスキップしていいな」というのがわかりますからね。重要な部分だけをしっかり解読することだと言い換えることもできます。

"scanning"と"skimming"を実際に英語記事で示しましょう。

例えば、以下のリンクはアメリカのトランプ大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との会談を伝える、ニューヨークタイムズの記事ですが、

Trump to Suspend Military Exercises on Korean Peninsula
https://www.nytimes.com/2018/06/11/world/asia/trump-kim-live-updates.html

ここで"scanning"とは、例えばどこでこの2人が会談するのかを見つけ出すことになります。

それに対し、"skimming"では記事で言いたいことを探すわけですね。今回の記事では見出しで大体の流れはわかります。両首脳の動向や食事の話はざっと読み飛ばす程度で、あとは歴史的な会談が行われる興奮を伝えているなとわかります。

 

scanningとskimmingのコツは?

"scanning"や"skimming"のコツですが、英文のライティングのフォーマットを知っていると便利なので紹介しましょう。

パラグラフライティングをご存知でしょうか。パラグラフの冒頭の文章には、そのパラグラフで言いたい主張について書かれています。パラグラフは基本、言いたいことを1点に絞っています。つまり、冒頭の文章だけ追えばパラグラフの内容が自ずとわかる仕組みになっています。

また、パラグラフ内部の構造も、ある主張とそれを支持する根拠、そして具体例の3つで構成されることが多いでしょう。つまりパラグラフの構造がわかっていると、"scanning"や"skimming"のスピードが上がるわけです。

他にもライティングの作法についても知っていると、リーディングにも応用できるのでぜひ覚えておくといいのではないでしょうか。

まとめ

今回は、英語を読むテクニックについてお話ししました。この記事を読んでいる方の中には、TOEICやTOEFLの受験を考えておられる方もいるでしょう。

ご存知のように、大量のリーディングが課され、短い時間内に設問に答えなければなりません。"scanning"や"skimming"、あるいはライティングの構造を知っているだけで読むスピードは全然変わってきます。是非、試してみてはいかがでしょうか。


担当ライター:Michikaku(英会話がなかなか上達せず英会話の学習法をいろいろ試した英語オタク。その甲斐あってロンドンにある大学院に留学を果たす。現在は、日本へ帰国し翻訳や学術・教育関連のライター業に従事)

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