英語に限らず、日本人はディスカッションが苦手なのではと感じます。そもそも教育課程で、ディスカッション自体を学習しません。
ところが例えばオーストラリアでは、ディスカッションや考えさせることに重点が置かれます。暗記する教育方針がいいのか、議論や論文など思考力を身につけさせるほうがいいのか、意見は分かれるでしょう。
今回はディスカッションで使う決まりきったフレーズや海外の大学院での実体験をお話ししますので、英語でのディスカッションのコツをつかんでもらえれば幸いです。
目次
ディスカッションで使われるフレーズ
冒頭でディスカッションを勉強する機会が日本では少ないと言いました。その一方で、英語でのディスカッションの能力を測る試験も存在しません。TOEICやTOEFLでスピーキングのテストは存在しますが、与えられた設問についての答えるだけですね。私も、IELTSの受験経験があります。確かに試験官と一対一で会話をしますが、ディスカッションには程遠い気がします。
私自身も大学院のプリセッショナルコースなどで英語の勉強をしましたが、ディスカッションに関して習ったことといえば、決まりきったフレーズくらいですね。あとは授業中での先生やほかの生徒とのやり取りなど、実践あるのみという感じでした。とはいえ、ディスカッションで用いるフレーズを知っていると、ディスカッションの形式が理解できるでしょう。ぜひ参考にしてください。
I think~
「いまさら?」と思われるかもしれません。別に"think"を使った表現でなくても、 以下のフレーズでも構いません。
In my view~(私の見解は~です)
It seems to me that~(私には~のように思えます)
My understanding is~(私の理解では~)
何が言いたいのかというと、「客観的な事実と主観的な意見をはっきり区別する」ということです。
おそらく、エッセーを書くときには事実と意見の区別をはっきりつける必要があることを習うでしょう。ところが話す場面になると、そのことを忘れがちです。自分の意見をさも事実であるかのように語ると、議論する相手の印象はよくありません。「自分の主張していることを理解していないのでは?」と思われますし、最悪の場合議論のできない人という印象を与えます。
事実と意見をはっきり区別しておけば、議論を行う上での検証作業もスムーズにはかどります。「この部分は事実ではない」や「あなたの主張には根拠が薄い」など主張できますからね。"think"は単調ですが、何も主張しないよりはずっとマシです。
May I interrupt~?
「ちょっと割り込んでもいいですか?」という意味のフレーズです。"interrupt"の意味は、Oxford Advanced Learner’s Dictionaryには次のようにあります。
interrupt: to say or do sth that makes sb stop what they are saying or doing
(sth: something, sb: somebodyのこと)
ディスカッションに熱が入るからなのか、英語を話す方に自己主張の激しい方が多いからなのかはわかりませんが、なかなか議論の中に割って入るのが難しいのですね。
もしこのフレーズを知っていると、すっと議論の中に入っていけますね。もっとも私なんかは雑で、”Wait”や”Hang on”(どちらも「待って」の意味)を使っていましたが(笑)もっとも親しい相手だけですよ。
miss the point
「見当違い」を意味するフレーズです。相手がトンチンカンなことを主張している時に使用できますが”miss the point”だけ取り出すと、非常に失礼(impolite)に聞こえてしまいます。特にさも事実であるかのように”miss the point”を用いることは議論している相手を怒らせるかもしれませんので注意が必要です。
先述の”seem”と組み合わせ"you seem to miss the point."などとすれば「(他の人はわからないけれども)私見では」というニュアンスが加わります。
Are you saying that~
「あなたが言っていることは~ですか?」という、相手の主張を確認する表現です。議論は、しばしば平行線をたどります。事実認識の違いや、自分が了解していない暗黙の前提を相手がしていることがあります。
「どこかすれ違いがあるのかな?」と感じたときは、議論する相手との知識を共有し相手の意見を確認することが、ディスカッションを円滑に進めるためのコツです。
実際のディスカッションはどんな感じ?
プリセッショナルコースでもディスカッションの経験はありましたが、大学院のそれとは比べ物になりませんでした。そもそもプリセッショナルコースは、ノンネイティブのための授業であり、英語の練習の場です。大学院の講義やチュートリアルでは、ネイティブ・ノンネイティブにかかわらず学生が積極的に意見を言います。
ディスカッションには、いくつものメリットがあります。ディスカッションを交わすことで、トピックへの理解が深まります。新しいアイディアへのヒントが浮かぶこともあります。私の専攻の担当教授も、友人同士でのディスカッションを推奨していました。
もっとも学生が講義やチュートリアルで意見を積極的に言うのは、それだけが理由ではありません。先生に名前や顔を覚えてもらうことで、評価の高い推薦状がもらえるというメリットもあります。進学だけでなく就職の際にも必要な推薦状を著名な教授が書いてくれるとなれば、評価も高くなりますからね。
まとめ
英語に特化したディスカッションの教授法というのは、あまり存在しません。日本でもディスカッションの授業を積極的に取り入れるといいのですが、教える教師がディスカッションを身につけているのかと問われると、何とも言えません。
これは海外留学経験のない英語教師が英語を本当に教えられるのかという問題にも似ている気がします。フレーズに特化した本や、ディスカッションの方法を教えた本を最後に紹介するので、参考にしてはいかがでしょうか。
担当ライター:Michikaku(英会話がなかなか上達せず英会話の学習法をいろいろ試した英語オタク。その甲斐あってロンドンにある大学院に留学を果たす。現在は、日本へ帰国し翻訳や学術・教育関連のライター業に従事)