現在、TOEICで900点以下のスコアを取ることのない筆者ですが、過去には600点台のスコアの時もありました。
私がTOEIC長文問題のリーディングへの恐怖心がなくなり、英語の長文をスラスラ読めるようになったのは、ある一冊の英語小説と出会い、その本を読了できた瞬間からです。
もちろん最初は洋書を簡単に読めたわけではなく、初めて手にした洋書を読み切るまでは何度も挫折しました。
今回は、筆者が英語を勉強し始めたころに聞いておきたかった”初めて洋書を選ぶコツ”や”初めて英語の本を読むときの注意点”などをご紹介したいと思います。
何度も挫折して運命の本に出会う
「年齢が若くても英語ができれば給料2倍の仕事につけるらしい」と聞いた筆者は不純な動機でTOEICスコア700点台を目指すことにしました。(当時の点数は600点を辛うじて超すくらいでした。)
英語の得意な友人から「英語の本を読んだら嫌でも英語力がつくよ」と貴重なアドバイスをもらい、英語の小説を読み始めたのですが・・。何冊も読み始めては投げだし、本を読んでいる時間よりも辞書を開いている時間の方が長いことに気付き、TOEICは相変わらず600点台で、英語を投げ出しかけていました。
そんな時に、日曜日の昼に図書館でスティーブン・キングの「Different Seasons」に出会いました。寄贈本だったようで、図書館の本にしては珍しく新品だったのが目を引いたのです。借りて家に持ち帰り、読み始めて、気づいたら文字が見えなくなっていました。昼に帰ってきたのに、もう日が暮れていたのです。
2週間かけて「Different Seasons」を読み終わり、次のTOEICでは740点を取ることができました。無事に外資にも転職できました。(給料はさすがに2倍ではありませんでしたが・・)
読了できた本は何が違ったのか
洋書を一冊読んだだけでTOEICの点数が100点以上上がったことにも驚きましたが、筆者自身は、あれだけ苦戦していた洋書が読めてしまったことにまず驚きました。一冊読むことができたのには、2つの理由があります。
一つ目は、英語のレベルが自分に合っていたこと。二つ目が、内容が自分の好みに合っていたことです。それまでに選んでいた本は、小学生が大学生向けの本を読んでいるように、英語のレベルが高すぎたのです。辞書ばかり引いていたのも当然ですね。
自分の好みに合っていたことは、最後まで読み進める気力と、辞書を引いている時間がもったいなくて、分からない単語を読み飛ばす勇気をくれました。
TOEICの点数が上がったのは、洋書を1冊読んで英語に慣れたことと、読む速さが上がったことが何よりも大きいと思います。また、辞書を開いている時間が惜しいくらい先を読みたくてうずうずしていたので、分からない単語があっても辞書を引かずに、前後の文脈から類推する癖がついたのも、長文問題では役に立ちました。
初めての洋書の選び方と読み方
実体験を踏まえて、洋書を選ぶ基準やどのように読むと進めやすいかをまとめました。筆者は今でも英語力を落とさないように洋書を読んでいますが、どれも現在進行形で実践していることです。
初めての洋書を”選ぶとき”のポイント
① 自分のレベルにあった本を選ぶ
② 興味のある内容の本にする
最初の5ページくらいを読んでみて、「これなら無理なく楽しく読めそう」と言う本を選びましょう。辞書がなくても、寝る前にベッドの中で読めるくらいの本がレベル的にはおすすめです。
また、偉い人が推薦している本でも、必読本と銘打たれていても、ベストセラーであっても、難しくてつまらない本を読むのは苦痛でしかありません。読むことを強要されるのは、会社の書類だけでいいはずなので、読書くらいは楽しみましょう
初めて英語の本を”読むとき”のポイント
① 辞書は極力使わない
② つまらなくなったら別の本を探す
勉強をしていると思わずに、読書をしていると思った方がはかどります。分からない単語が出てきても、読み飛ばしてしまってください。1つや2つ分からない単語があっても話の内容は分かるので問題ありません。
もし何個も意味の分からない単語が出てきて話の筋を見失うようであれば、自分のレベルが合っていない本なので、別の本を探した方がいいかも知れません。もちろん、絶対に辞書を見るなと言っているわけではないので、気になるものは辞書を引いてもかまいません。
もし途中で飽きてしまったら、その本はやめて別の本を探しましょう。その1冊を読み終えられないのは、あなたのせいではなく、その本があなたに合っていないからです。その本に固執してストレスをためるよりも、自分に適した本を探す方が、1冊の本を読み終える日への近道です。
スティーブン・キング「DIFFERENT SEASONS」
前述したように、ご自身の興味のある洋書を読んでいただきたいのですが、初読本の候補の一つとして、筆者の初読本でもあるスティーブン・キングの「Different Seasons」をご紹介します。スティーブン・キングはホラーの旗手として知られていますが、この本ではホラーを一切封印しています。
「Different Seasons」はタイトルの通り、春夏秋冬の中編小説4話を1冊にまとめた本です。同著に収録されている「ショーシャンクの空に」や「スタンド・バイ・ミー」は、原作よりも映画の方が有名かもしれません。大人向けの小説としては英語の単語が簡単なので、初読本に向いています。
春「ショーシャンクの空に」
英題は「Rita Hayworth and Shawshank Redemption (Hope Springs Eternal)」です。映画「ショーシャンクの空に」の原作です。ショーシャンク刑務所に入所しているアンディが脱獄をする話なのですが、平易な言葉遣いなのに、タイトルとかけた最後のhopeの使い方などはホラー作家が書いたとは思えない余韻を残します。
夏「ゴールデンボーイ」
英題は「Apt Pupil (Summer of Corruption)」です。結末は違いますが、映画化もされています。ナチスに興味がある少年が、近所に住む老人が元ナチスだと知って、狂気に追い込んで、あるいは追い込まれて行く話です。
秋「スタンド・バイ・ミー」
英題は「The Body (Fall From Innocence)」です。映画「スタンド・バイ・ミー」の原作です。少年たちがひと夏の冒険を通して大人になっていく有名な作品です。英題は「死体」とストレートです。Fallも、動詞のFall(堕落)と、名詞のFall(秋)をかけています。
冬「マンハッタンの奇譚クラブ」
英題は「The Breathing Method (A Winter's Tale)」です。映画化はされていません。こちらは他の3話と比べて短い話になっており、内容も、クリスマスの夜に起こった不思議な出来事を書き留めたようなストーリーです。
英語のレベルアップには英語本を読むのがおすすめ
英語の勉強法にはいろいろありますが、「いかにも勉強」と言う手法がやはり多くなってしまいます。そんな中で、筆者にとっては、英語の小説が初めて「勉強した」と思わずに力になったツールです。
1冊読んでしまった後は、2冊目3冊目も抵抗なく読め、英語力が高まっていきました。皆様も、これは面白い、もっと読みたい!と思うような洋書を探してみてくださいね。
担当ライター:Hitomi.K(高校までの英語の成績が良かったため、勘違いして外資系企業に入社。英語の資料は読めず、初の海外との会議ではHelloしか聞き取れず挫けそうになるも、給料が良かったのでしがみつく。独学で英検1級合格。その後も外資数社で勤務。たまにアメリカに在住経験があると思い込まれて困惑する。)